Zakeke(ザケケ)は、イタリア発の商品カスタマイズ・3DコンフィギュレーターSaaSです。当社は競合にあたる国産SaaS「Mitsumo3D」の開発元です。2026年7月5日、競合調査としてZakekeの公開情報を洗いました。契約して操作したわけではなく、公式サイト・ヘルプ・レビューサイトの突合です。その前提を明かした上で、Zakekeが優れている点は優れていると書きます。

日本語で読める解説記事は、この調査ではほぼ見つかりませんでした。

検討する方は英語の一次情報を読むことになります。本記事が、その手間を少しでも減らせれば幸いです。

Zakekeとは。

Zakekeは、ECサイトに商品カスタマイズ機能を組み込むSaaSです。公式サイト(2026年7月5日取得)は、次の5製品を掲げています。

  • ビジュアル商品カスタマイザー(文字入れ・画像アップロード・色変更)
  • 3Dプロダクトコンフィギュレーター(部品・素材の切替)
  • AIエージェントスタジオ(商品画像・モックアップ・動画の生成)
  • 3Dアセットハブ(3Dモデルの一元管理・配信)
  • AIバーチャル試着(アクセサリー・アパレル向け)

連携先はShopify・WooCommerce・BigCommerce・Salesforce Commerceなどです。印刷用データ(print-ready file)を自動出力できるため、名入れ・ノベルティとの相性を意識した設計だと読み取れます。

料金は、調べるのに手間取りました。

公式の料金ページ(zakeke.com/pricing)を開くと、管理画面のadmin.zakeke.comに転送されます。表示は動的で、ログインなしでは料金表にたどり着けませんでした。そこでfibbl.com・G2・Capterraの3サイトを突合し、共通する値を拾いました(2026年7月5日取得)。下の表はその突合値です。一方、cpq3d.comの調査記事(2026年5月)は「€19〜€459+/月」とユーロ建ての別の数字を載せています。どちらが現行なのか、正直なところ最後まで判断がつきませんでした。本記事では、レビュー3サイトで一致したドル建ての値を採用します。

プラン 月額 商品数上限
Starter $68 5点
Grow $170 25点
Scale $340 50点
Enterprise 個別見積 個別(売上$10M以上想定)

月額に加わる費用もあります。

  • 取引手数料: 販売ごとに1.5〜1.9%(最低$0.02/件との報告。レビューサイト経由の値で、公式の明記は見つけていません)
  • 3D/ARプロ機能アドオン: +$29.90/月
  • 追加ユーザー: +$4.90/月
  • AI 3D Model Creator: 別途見積

無料トライアルは14日間です。3Dコンフィギュレーター業界は、価格非公開・デモ必須のベンダーが多数派です。その中でZakekeは、セルフサーブで始められる数少ない1社でした。競合を調べる立場で言うのも妙ですが、この価格公開の潔さには少し感心しました。

3Dモデルは持ち込みが前提です。

Zakekeの3D表示は、事前にアップロードした静的3Dモデルの属性を切り替える方式です。色や素材は替えられますが、寸法を入力して形状そのものを変えることはできません。机を3サイズで売るなら、3Dモデルも3つ必要です(configurator.techレビュー、2026年)。

3Dモデルの制作費は月額に含まれません。自社でデータを用意するか、AI 3D Model Creator(別途見積)を使う流れです。

Zakekeが得意なこと。

仕様と価格から見て、向いているのは次のケースです。

  • Shopifyなど既存のECサイトに、プリント系カスタマイズを低コストで足したい
  • 名入れ・画像アップロードの注文から、印刷用データまで自動化したい
  • 多言語・多通貨のストアフロントで海外に売っている
  • 商品点数が少なく、形状バリエーションが固定されている

エンドユーザー向けUIは、日本語を含む多言語に対応します(公式ヘルプで確認、2026年7月5日)。通貨も50以上に対応し、越境ECには合理的な設計です。

構造的にできないこと。

批判ではなく、仕様の確認です。

  • 寸法駆動パラメトリックは非対応です。「W×D×Hを入力すると3Dが変形し、価格が再計算される」動きはできません
  • BtoBの見積書ワークフローがありません。カート投入からのEC決済が前提の設計です
  • プランごとに商品数上限(5〜50点)があります
  • 管理画面・ドキュメントは英語中心です。日本法人・日本語サポート窓口は、当社の調査では見つけられませんでした(2026年7月5日時点)

日本のBtoBで使えますか。

板金・造作家具・建材・特注印刷資材など「1件ごとに寸法が違う」商材では、静的モデルの切替方式が合いません。寸法パターンの数だけ、3Dモデルを作り続けることになるためです。

商習慣の面でも壁があります。日本のBtoB取引は、見積書PDFと社内承認を経るのが一般的です。カート決済前提のZakekeでは、この見積フローを再現できません。料金はドル建てのため、為替次第で円換算のコストも動きます。サポートの時差と言語は、Web担当が1人の中小企業には実務上の負担です。

補助金でも差が出ます。デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象は、事務局に登録されたツールに限られます。海外SaaSの直接契約では、この後押しを前提にできません。

一方、ECで完結するプリント商材を海外にも売るなら、Zakekeは有力な選択肢です。用途の見極めが先で、ツールの優劣の問題ではありません。3Dコンフィギュレーター全体の選択肢は「3Dコンフィギュレーターの解説」で整理しています。受託開発を含めた費用感の当たりを付けるには、見積もりシミュレーター制作の費用相場が使えます。

Mitsumo3Dとの比較表。

2026年7月5日時点の公開情報にもとづく比較です。当社製品が絡むため、Zakekeが優位な行もそのまま載せます。

項目 Zakeke Mitsumo3D
月額 $68〜$340+アドオン 9,980円(年払い)
初期費用 なし 30〜50万円
無料トライアル 14日間 なし(オンラインデモ対応)
取引手数料 1.5〜1.9% なし
導入方法 セルフサーブ(即日開始可) 伴走導入・2週間納品
EC連携 Shopify・WooCommerce等と直接連携 EC直接連携は個別対応
多言語ストアフロント 50以上の通貨・日本語UI対応 日本語前提
寸法駆動パラメトリック 非対応(寸法ごとに別モデル) 対応(寸法入力で3Dと価格が連動)
見積書ワークフロー なし(EC決済前提) 見積PDF・入稿データ・リード情報を自動生成
3Dモデル制作 持ち込みまたは別途見積 制作込み
販売管理連携 なし(海外EC連携のみ) 国産販売管理SaaSと連携
日本語サポート なし(英語中心) 日本語
補助金 対象の記載なし デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)の対象になり得る

初期費用の安さ・トライアルの手軽さ・EC連携の広さではZakekeが上です。寸法対応・見積書フロー・日本語での伴走が必要なら、Mitsumo3Dの側に分があると考えています。

まとめ。

Zakekeは「形状が固定されたカスタマイズ商品を、ECで多言語販売する」用途に振り切ったSaaSです。低価格とセルフサーブは、価格非公開が多いこの業界では貴重です。一方で、寸法駆動パラメトリックとBtoB見積フロー、日本語サポートは仕様として持っていません(2026年7月5日時点)。

毎回寸法が変わる商材では、この差が導入後の運用負荷に直結します。エンタープライズ規模の3D×CPQを検討する場合は、Threekitの解説記事で扱ったThreekitが比較対象になります。

当社の結論は単純です。ECで完結するプリント商材ならZakeke、寸法と見積書が動く国内BtoBなら国産SaaSです。貴社の商材は、どちら側でしょうか。